乾燥処理した生ごみは、有機質肥料として利用することができます

乾燥物を未発酵有機資材として活用

監修 : 立命館大学 生命科学部 久保 幹 教授
一般社団法人 SOFIX農業推進機構

乾燥処理物の効果について

生ごみ処理機にはいくつかの方式があり、それぞれの処理物には次のような違いがあります。

生ごみ処理機器の特徴及びそれぞれの乾燥処理物別の効果について
処理方式
電気式
低温風乾燥式生ごみ処理機
生ごみ減量乾燥機
パリパリキューブ
電気式
高温風乾燥式生ごみ処理機
電気式高温風乾燥式生ごみ処理機
電気式
バイオ式生ごみ処理機
電気式バイオ式生ごみ処理機
非電気式
コンポスト
生ごみをそのまま
コンポスト
処理機器の特徴

低出力のヒーターを使い、60°C~80°C程度の低温風で乾燥させる。
生ごみのおよそ80%は水分なので乾燥した生ごみは約1/5まで減量する。

攪拌なし。

高出力のヒーターを使い、130°C程度の熱風で乾燥させる。
生ごみのおよそ80%は水分なので、乾燥した生ごみは約1/5まで減量する。

攪拌タイプ。

基材と生ごみを混ぜて微生物の働きで分解を促進させる。
生ごみを水と炭酸ガスに分解し、減量させる。

攪拌タイプ。

庭や畑などに置き、土の中の微生物や小動物によって生ごみを分解・発酵させてたい肥にする。

乾燥処理物の
効果について
◎ 最適な未発酵・有機肥料

60°C~80°Cの低温で乾燥させた乾燥生ごみは最適な未発酵・有機肥料になります。
魚の骨も分別せずに処理することができるため、リン肥料として活用できます。

未発酵・有機肥料

攪拌させながら130°Cの高温で乾燥させるため、生ごみを一部炭化させてしまう場合があり、有機肥料として効果が低くなる場合も考えられます。

発酵・有機肥料

微生物の活動により分解されて堆肥となり、発酵・有機肥料になります。
バイオ式生ごみ処理の過程で微生物によってほとんどが分解されるため、有機肥料として効果が薄れてしまいます。

発酵・有機肥料

微生物の活動により分解されて堆肥となり、発酵・有機肥料になります。
生ごみをそのまま肥料として使用しても良いですが、水分が多く腐敗が進む可能性があります。

有機肥料は発酵の有無によって、「発酵・有機肥料」と「未発酵・有機肥料」の2種類に分けることができます。
発酵・有機肥料には牛糞堆肥、鶏糞堆肥、そしてバーク堆肥などがあり、未発酵・有機肥料としては大豆かす、米糠、そして魚粉などがあります。
生ごみ堆肥は有機物なので、日常生活で簡単に手に入る有機肥料として使うことができます。
生ごみをそのまま肥料として使用しても良いですが、水分が多く腐敗が進む可能性もあります。そのため、生ごみ処理機で処理した方が、より扱いやすい有機肥料となります。

未発酵・有機肥料は、土壌中の微生物を効果的に増殖させるため、低温風乾燥生ごみは土づくりに最適です。
当社のパリパリキューブは低温風乾燥式であり、処理物を未発酵・有機肥料として使っていただけます。また、パリパリキューブは、リン肥料として活用できる魚の骨も分別せずに処理することができます。
生ごみの種類によって含まれる肥料成分が違うので、生ごみの特徴(表1参照)を知ることで、自分で肥料をカスタマイズすることも可能です。

表1, 生ごみの特徴
生ごみに多く含まれる成分 (用途) 生ごみの種類
炭素 (微生物の栄養素、土壌改良) 米、小麦、野菜の皮など (炭水化物の多い食材)
窒素 (微生物・植物の栄養素) 肉、魚肉など (タンパク質の多い食材)
リン (微生物・植物の栄養素) 骨など
カリウム (微生物・植物の栄養素) 野菜、果物、海藻など

<参考>
・久保 幹 (2017) 土壌づくりのサイエンス, 誠文堂新光社
・久保 幹 (2020) SOFIX物質循環型農業, 共立出版

乾燥物を有機質肥料として利用

自主基準による実験結果より

乾燥処理した生ごみは、有機質肥料として利用することができます。


[有機質肥料として利用]

生育テスト比較(小松菜で実験)

肥料なし有機質肥料あり

(香川大学農学部共同実験結果)

乾燥生ごみ、既製品の肥料、肥料なしの比較

(社内実験結果)

家庭菜園から有機農業を体験!

SDGs

有機農法では農薬や化学肥料を使用しません。また、有機農法で育てた作物は、慣行農法(化学農法)で育てた作物より苦みやえぐみが少なくなり、抗酸化物質などの有効成分が多くなります。そのため、有機農法の方が安全で美味しい作物を作ることができます。
近年ではSDGsへの関心も高まり、農業についても持続可能性が注目され、有機農法へ転換する動きが加速しています。
有機農法では有機肥料を使用し、有機肥料は土壌中の微生物によって徐々に分解され、植物に吸収されます。このように物質が循環する持続可能な「物質循環型農業」が広まれば、食料問題の解決や、自然資源や生物多様性の維持につながっていきます。
家庭菜園でも同じように、乾燥生ごみを有機肥料として活用することで、プランターの土を何度でも使うことができます。持続可能な活動の第一歩として、家庭菜園から有機農業を体験してみませんか?

有機質肥料として利用するまでの手順

65cm幅の標準プランター(土壌12L)に、約1cm角につぶした乾燥処理物紙コップ8杯分を入れます。

・紙コップ1杯は約200ml。
・手でつぶれない硬い乾燥物は、はさみなどで細かくするか取り除きます。

土とよく混ぜ、水をやり、1週間寝かせます。

・週に一度、空気を含ませるように土をかき混ぜます。
・少し湿らす程度に水をやり保管します。

夏場は1~2週間、冬場は2~4週間ねかす方が良い。

種を蒔いて覆土し、水をやります。

・苗が直接、混合土に触れないように注意します。

肥料の効果は2~3ヵ月が目安です。
※観葉植物等への追肥は、土壌の上部に薄く振りかけてください (オーバースプレッディング)。

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